魔法の使えない不良品伯爵令嬢、魔導公爵に溺愛される
従兄弟との談笑
アティカの勧めで入ったカフェは、物静かでゆったりとした音楽の流れるカフェだった。奥のテーブル席に案内され、レティシアの隣にフレン、向かいにカイラとアティカが座った。
「ここのお薦めは生クリームがふんだんに盛られたシフォンケーキなんです」
「アティカさん、詳しいっすね……」
カイラの一言に、アティカは「夜に良く来るの」と言っていた。そんなに遅くまでうら若き女性が一人で歩いて大丈夫なのだろうか――。
「付き添いもいるのでご安心を」
心配そうに見つめていたレティシアに気付き、アティカは言葉を付け加える。ホッとしている内に、アティカお薦めの生クリームと木苺ののったシフォンケーキと紅茶が運ばれてきた。
「改めて。僕はフレン・ヴォークと言います。レティシアの父方の従兄弟です」
「ご丁寧にありがとうございます。私はアティカ。レティシアお嬢様の侍女をしております」
共に挨拶をし、深くお辞儀しあう二人。カイラは目の前のケーキに夢中だ。
「そういえば、アカデミーはどうしたんです?」
ごくん、と頬張っていたケーキを飲み込み、フレンに話しかけるカイラ。フレンは変わらないカイラに笑みを浮かべながら言葉を発する。
「今日は午前中で授業は終わりだったんだ。だから王立図書館まで遊びにきてたってわけ」
「坊ちゃんらしいですね」
笑いながら、カイラはもう一口ケーキを頬張る。フレンはレティシアに振り返る。
「噂で聞いたけど、婚約したんだってね」
「ええ、素敵な御方よ」
セシリアスタを思い浮かべながら、笑顔を浮かべるレティシア。そんなレティシアに、フレンは微笑んだ。
「そっか。幸せならそれでいいんんだ。おめでとう、レティシア」
「……ありがとう、フレン」
家族から祝われないのは承知していたが、こんな形で従兄弟にお祝いされるとは夢にも思ってなかった。レティシアは素直に喜びを口にした。
「それじゃあ、そろそろ寮に戻るよ」
ケーキも食べ終わり、談笑していると長い時間が経過していた。フレンは立ち上がり、お会計を済ませようとする。
「待って、私が払うわ」
「たとえ従兄弟でも、レディに支払いをさせる訳にはいかないよ」
そう言うフレンを、頑なにレティシアは拒んだ。寮での生活がどんなものかわからないが、どんな時でもお金は持っていた方が良い。
「駄目よ。こういう時はお姉さんのいうことを聞きなさい」
その言葉に、フレンは目を瞬かせ笑い出した。レティシアは首を傾げだす。
「何よ。変なことは言ってないじゃない」
「いや、昔からレティシアは変わらないなあと思ってね」
そう言いつつ、フレンは「わかったよ」と言った。一息ついて、微笑みだす。
「今回はレティシアの言葉に甘えさせて貰うよ。でも何かあったら、僕を頼ってくれよ?」
微笑みながらそう強く言う従兄弟に、レティシアは微笑み返した。
「ありがとう、フレン」
お会計を済ませ、店の前で別れる。大きくなった年下の従兄弟に、レティシアは手を振って見送った。
「ここのお薦めは生クリームがふんだんに盛られたシフォンケーキなんです」
「アティカさん、詳しいっすね……」
カイラの一言に、アティカは「夜に良く来るの」と言っていた。そんなに遅くまでうら若き女性が一人で歩いて大丈夫なのだろうか――。
「付き添いもいるのでご安心を」
心配そうに見つめていたレティシアに気付き、アティカは言葉を付け加える。ホッとしている内に、アティカお薦めの生クリームと木苺ののったシフォンケーキと紅茶が運ばれてきた。
「改めて。僕はフレン・ヴォークと言います。レティシアの父方の従兄弟です」
「ご丁寧にありがとうございます。私はアティカ。レティシアお嬢様の侍女をしております」
共に挨拶をし、深くお辞儀しあう二人。カイラは目の前のケーキに夢中だ。
「そういえば、アカデミーはどうしたんです?」
ごくん、と頬張っていたケーキを飲み込み、フレンに話しかけるカイラ。フレンは変わらないカイラに笑みを浮かべながら言葉を発する。
「今日は午前中で授業は終わりだったんだ。だから王立図書館まで遊びにきてたってわけ」
「坊ちゃんらしいですね」
笑いながら、カイラはもう一口ケーキを頬張る。フレンはレティシアに振り返る。
「噂で聞いたけど、婚約したんだってね」
「ええ、素敵な御方よ」
セシリアスタを思い浮かべながら、笑顔を浮かべるレティシア。そんなレティシアに、フレンは微笑んだ。
「そっか。幸せならそれでいいんんだ。おめでとう、レティシア」
「……ありがとう、フレン」
家族から祝われないのは承知していたが、こんな形で従兄弟にお祝いされるとは夢にも思ってなかった。レティシアは素直に喜びを口にした。
「それじゃあ、そろそろ寮に戻るよ」
ケーキも食べ終わり、談笑していると長い時間が経過していた。フレンは立ち上がり、お会計を済ませようとする。
「待って、私が払うわ」
「たとえ従兄弟でも、レディに支払いをさせる訳にはいかないよ」
そう言うフレンを、頑なにレティシアは拒んだ。寮での生活がどんなものかわからないが、どんな時でもお金は持っていた方が良い。
「駄目よ。こういう時はお姉さんのいうことを聞きなさい」
その言葉に、フレンは目を瞬かせ笑い出した。レティシアは首を傾げだす。
「何よ。変なことは言ってないじゃない」
「いや、昔からレティシアは変わらないなあと思ってね」
そう言いつつ、フレンは「わかったよ」と言った。一息ついて、微笑みだす。
「今回はレティシアの言葉に甘えさせて貰うよ。でも何かあったら、僕を頼ってくれよ?」
微笑みながらそう強く言う従兄弟に、レティシアは微笑み返した。
「ありがとう、フレン」
お会計を済ませ、店の前で別れる。大きくなった年下の従兄弟に、レティシアは手を振って見送った。