魔法の使えない不良品伯爵令嬢、魔導公爵に溺愛される
招待状
セシリアスタからペンダントを貰ってから十日。レティシアはもう一度基礎から魔法についてサグサに教わることになった。レティシアに出来ないこと……それは大気中のマナと自身の魔力を組み合わせることだと、サグサは言った。
「レティシア様は魔石の生成が出来てらっしゃるということは、大気中のマナとの干渉は出来ているということになります。となりますと、ご自身の魔力に大気中のマナを組み込むことが出来ていないのだと考えられます」
「自身の魔力に、マナを組み込む……ですか?」
首を傾げるレティシアに、サグサは「はい」と言いテーブルの上の紙にペンを走らせる。
「まず、魔法というのは大気中に宿る精霊の力と自身のオドを組み合わせることで発動できる。と言いますが、具体的には自身のオドと相性の良い精霊の力を自身の中に一時的に取り入れ、体内で組み合わせることで魔法として具現化します」
「なるほど……となりますと、私が出来ていないのは精霊の力を体内に取り入れる所なのですね?」
「そうなります」
サグサの説明に、レティシアは頷き納得する。
「レティシア様は高い魔力をお持ちですが、必要な分を取り入れるだけの容量もご自身のオドで満たされてしまっているのかもしれませんね……」
「そんな……っ」
サグサの言葉に俯くレティシア。だが、そんなレティシアの背をサグサは撫でた。
「大丈夫です。空いている容量がないのであれば、作ればいいのです」
「でも、どうやって……?」
不安げな表情を浮かべながらサグサを見上げるレティシア。そんなレティシアに、サグサは「簡単です」と答える。
「髪を伸ばしてください」
「え……?」
呆気に取られるレティシアに、サグサは言葉を続ける。
「髪には魔力を溜めておくことが出来ます。魔力操作で髪に魔力を移し、体の中の容量を空ければいいのです」
髪にそんなことが出来たなんて、知らなかったわ――。自身の髪を触りながら驚くレティシアに、サグサは幾つかの方法を告げる。
「もう一つは瞑想です。瞑想し、大気中のマナとの干渉を高め、体内の魔力の循環を活性化させます。そうすることで、オドの質が高まり容量も増えます。この二つは時間こそかかりますが、確実です。最後のは……あまりレディにはお薦め出来ませんね……」
「最後の一つと言うのは?」
レティシアの言葉に、サグサは言い淀む。そんなサグサに首を傾げるが、レティシアとしては知っておきたい。そう思った。
「サグサさん、教えてください」
「……わかりました。簡単に言いますと、異性との性交です」
言われた言葉に、レティシアは頬を紅潮させた。
「魔力というのは、体内……血液などの体液にも含まれます。性交を介して、他者に魔力を譲渡するのです。それで容量を確保する、という方法です。レティシア様はまだ成人なさっておりませんので、この方法は知識としてのみ覚えておいてください」
「は、はい……っ」
頬を真っ赤に染めながら、レティシアはこくこくと頷いた。サグサさんに申し訳ないことを言わせてしまったわ――。恥ずかしい。
「レティシアお嬢様、お手紙が届いております」
ノックの後、他の使用人からの声にカイラが対応する。手紙を受け取ったカイラが近づき、レティシアへと手紙を手渡す。
(どなたからかしら……)
差出人を見ると、D・Oと表記されていた。サグサに視線を向け了承を得ると、そっと封を開け手紙を取り出した。
「……招待状?」
そこには、お茶会へ招待するという内容が書かれていた。
「レティシア様は魔石の生成が出来てらっしゃるということは、大気中のマナとの干渉は出来ているということになります。となりますと、ご自身の魔力に大気中のマナを組み込むことが出来ていないのだと考えられます」
「自身の魔力に、マナを組み込む……ですか?」
首を傾げるレティシアに、サグサは「はい」と言いテーブルの上の紙にペンを走らせる。
「まず、魔法というのは大気中に宿る精霊の力と自身のオドを組み合わせることで発動できる。と言いますが、具体的には自身のオドと相性の良い精霊の力を自身の中に一時的に取り入れ、体内で組み合わせることで魔法として具現化します」
「なるほど……となりますと、私が出来ていないのは精霊の力を体内に取り入れる所なのですね?」
「そうなります」
サグサの説明に、レティシアは頷き納得する。
「レティシア様は高い魔力をお持ちですが、必要な分を取り入れるだけの容量もご自身のオドで満たされてしまっているのかもしれませんね……」
「そんな……っ」
サグサの言葉に俯くレティシア。だが、そんなレティシアの背をサグサは撫でた。
「大丈夫です。空いている容量がないのであれば、作ればいいのです」
「でも、どうやって……?」
不安げな表情を浮かべながらサグサを見上げるレティシア。そんなレティシアに、サグサは「簡単です」と答える。
「髪を伸ばしてください」
「え……?」
呆気に取られるレティシアに、サグサは言葉を続ける。
「髪には魔力を溜めておくことが出来ます。魔力操作で髪に魔力を移し、体の中の容量を空ければいいのです」
髪にそんなことが出来たなんて、知らなかったわ――。自身の髪を触りながら驚くレティシアに、サグサは幾つかの方法を告げる。
「もう一つは瞑想です。瞑想し、大気中のマナとの干渉を高め、体内の魔力の循環を活性化させます。そうすることで、オドの質が高まり容量も増えます。この二つは時間こそかかりますが、確実です。最後のは……あまりレディにはお薦め出来ませんね……」
「最後の一つと言うのは?」
レティシアの言葉に、サグサは言い淀む。そんなサグサに首を傾げるが、レティシアとしては知っておきたい。そう思った。
「サグサさん、教えてください」
「……わかりました。簡単に言いますと、異性との性交です」
言われた言葉に、レティシアは頬を紅潮させた。
「魔力というのは、体内……血液などの体液にも含まれます。性交を介して、他者に魔力を譲渡するのです。それで容量を確保する、という方法です。レティシア様はまだ成人なさっておりませんので、この方法は知識としてのみ覚えておいてください」
「は、はい……っ」
頬を真っ赤に染めながら、レティシアはこくこくと頷いた。サグサさんに申し訳ないことを言わせてしまったわ――。恥ずかしい。
「レティシアお嬢様、お手紙が届いております」
ノックの後、他の使用人からの声にカイラが対応する。手紙を受け取ったカイラが近づき、レティシアへと手紙を手渡す。
(どなたからかしら……)
差出人を見ると、D・Oと表記されていた。サグサに視線を向け了承を得ると、そっと封を開け手紙を取り出した。
「……招待状?」
そこには、お茶会へ招待するという内容が書かれていた。