再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
それでも気にせずアタックする子たちもいたけれど、あっけなく振られて落ち込む子もたくさんいたっけ。

それが怖くて私は遠くから想っているだけだったけれど……。
まさか、こんなところで再会するなんて。


「まともな就職先ないのか?」

「そ、そういうわけではなくて……」


上手い言い訳も思い浮かばず、口ごもってしまう。

だって、本当のことなんて言えるわけない。
『お金に困っていて、夜の世界に入りました』なんて。

私だってこんなつもりじゃなかったし、前の職場だって辞めるつもりなんてなかった。
でも、こうするしか方法がなかったの。


「そういう高森先輩だって、どうしてこんなところへ?」

「俺はただの暇つぶし。それ以外の理由なんてない」

「……暇つぶし」

「毎日毎日、大変なんだよ。時期院長だからって、変に期待されてるから」


……時期医院長? もしかして、彼は今お医者さん?


「早く結婚もしろって、親から言われてそれも負担だ」


お酒入ったからなのか、次々に近状を吐いていく彼。

医者とか結婚とか私には未知の世界でよくわからないけれど、どうやら彼はそうとうなストレスを抱えているっぽい。
そうでもなきゃ、真面目な彼がこんな所へ来ることなんてないもの。
< 10 / 170 >

この作品をシェア

pagetop