再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
こんなに気を付けているのに、この前3人で夕食を食べたときは優太くんがご飯粒を踏んづけていたっけ。


「蒼斗、ママお皿のお片付けするから、テレビ観て少し待っててね」

「はい! わかりましたっ」


手洗いが終わって、タオルで手を拭きながら返事をしてくれた蒼斗。
元気よく返事をしているけれど、座っているのはほんの数分。

すぐに「ママ、だっこ!」と、私の足元にまとわりついてくるのは毎日の日課だ。
けれど、後片付けをしていかないと後々大変な思いをするのは自分。

やれることは、済ましてから出かけたい。

「いい子にしててね」と、テレビの前に蒼斗を座らせてから、私は再びキッチンに立った。
それが終わると自分のメイクを直して、出発の準備を整える。


「蒼斗、行こうか」

「はーい! しゅぱーつ!!」


保育園用のバッグを肩からぶら下げると、蒼斗と一緒に玄関を出た。

ブーツからスニーカーに変わって、足が軽く感じる。
蒼斗も足が軽いのか、スキップをしているように歩いている。

時々、道の横に生えている花に気をとられながらも、なんとか保育園までの道のりを歩いた。


「それじゃあ蒼斗、行ってらっしゃい」

「ママも、おしごとがんばってね」
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