再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
「それじゃあ、また来る」


ササっと会計を済ませて、意外にもあっさりとその場を去って行く高森先輩。

それと入れ替わるように私を指名したのは、常連客の中川さんだ。私が空くのを、待ってくれていたよう。


「柚葉ちゃーん! 今日もドンペリにしようかぁ」

「わぁい! 嬉しい、ありがとう」


休む間もなく席へと座り、中川さんとの接待が始まった。
基本中川さんの口から発せられるのは部下の愚痴だけれど、毎回高級シャンパンを何本もオーダーしてくれるのでかなりの稼ぎになっている。

男性で社長だ。だいたい〝ヨイショ〟しておけば、次々に高級シャンパンをオーダーしてくれるからありがたい。


「さっきの若造、初めてか?」

「え、うん。そうみたい」


多分、高森先輩のことを言っているのであろう。
低価格のシャンパンをオーダーしていたこと、見られていたんだ。


「あんなシャンパンじゃ満足できないだろ? ほら、いいやつ飲みなよ」

「う、うん。ありがとう」


この店で1番高級なシャンパン「ドンペリ」を、なんの迷いもなく2本オーダーして、2つのシャンパングラスに豪快に注いでいく中川さん。

これだけで、軽く200万越えの稼ぎにはなっている。
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