再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
色々な記憶が甦ってくるけれど、ここは私にとってとても大切な場所。
それはきっと、これからも変わらないような気がする。

お店のちょうど裏側に車を駐車させためぐみさんは「着いたよ」と、シートベルトを外した。

いよいよだ。約4年ぶりの再会。
店内にはもう、きっと彼が待っている。


「莉乃……大丈夫? やっぱり止めとく?」

「……ううん、止めない」


せっかくめぐみさんがここまで準備をしてくれたのに、今さら帰るなんてできるわけない。
それに、本当は私だって……。

優太くんを傷付けることになってしまうけれど、自分の気持ちに嘘はつきたくない。


「2人で話せる?」

「うん。大丈夫」

「なにかあったら、すぐ行くから」

「ありがとう」


静かに助手席側のドアを開け、ゆっくりと車を降りる。
心配そうな眼差しを向けているめぐみさんに「行ってくる」とだけ伝えて、私はお店に向かった。

めぐみさんに借りたお店の裏口の鍵で開錠すると、ゆっくりとドアを開けた。
出来るだけ足音を立てずに、蒼汰さんの待つホールへと向かうーー。

ホールの入り口から少しだけ見えた懐かしい背中に、鼻の奥がツンと痛くなったのがわかった。
それと同時に胸の奥がキュンと締め付けられたような気がした。
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