再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
せっかくここまで来たのに、急に戻りたくなってしまう衝動に駆られるーー。
それでも、今会わなければこの先一生会えなくなってしまいそうだ。

そんなの嫌だ。
ずっと……会いたいと思っていたんだから。今、それが叶おうとしているんだから。

勇気を出さなければ。前に進めない。


「……莉乃?」


私の気配に気が付いたのか、蒼汰さんが振り向いた。

待って。やばい。
まだ心の準備ができていなかったのに。

戸惑っている私をよそに、蒼汰さんが立ちあがって私に近づいて来る。


「莉乃、だよな?」

「……はい。西野、莉乃です」


西野莉乃本人で間違いないということを伝えるためにフルネームで名前を言う。

緊張と戸惑いで目を合わせられずにいると、いきなり蒼汰さんに抱きしめられてしまった。
突然すぎて、上手く息ができない。


「そ、蒼汰……さん?」

「莉乃……会いたかった。ずっと探していたんだ」


懐かしい彼のぬくもりに、涙が溢れそうになる。

私だって、ずっと会いたかった。
それでも、蒼汰さんにはもう会ってはいけないと思っていた。

彼のお母様に自分を受け入れてもらうことができなかったから『私は蒼汰さんにふさわしくない』と、自分に言い聞かせてばかりいた。

それでも……彼は、私を待っていてくれていたんだ。
4年間も、ずっと。
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