再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
そうか……。それくらい、私のことを探し続けていてくれたんだ。
でも、私はもう1児の母。夜しか開けていないこのお店に戻ることはできない。


「莉乃を失ったとき、後悔しかなかった。俺が政略結婚なんてことを思いついたから、莉乃を苦しめてしまってたんだと」

「い、いえ……それは、お互い合意の上でだったから」

「……本当にごめん」


今にも消え入りそうな声でそう言った蒼汰さんは、再び私を抱きしめる。


「莉乃、好きだよ」

「……え?」


今のは……聞き間違い?

蒼汰さんが、私を好き?
そんなこと、ありえない。だって、私たちが交わしたのは〝政略結婚〟という愛のない結婚だったはず。

蒼汰さんが私を好きになるなんて、そんなこと絶対ありえない。


「なんて顔してんだよ」

「だって……蒼汰さん、私が……好きって」

「うん、好きだよ。前は言わなかったけど、今度こそちゃんと伝えたい」


夢でも見ているかのようだった。
まさか、蒼汰さんが「好き」と言ってくれるなんて。

そんな日が来るなんて、思ってもいなかった。

もう2度と会えることがないと思っていた彼と再会をし、その上1番欲しかった言葉も聞くことができた。
そんな奇跡のようなことが、起きてもいいのだろうか。
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