再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
「莉乃さん。4年間も1人で子どもを育ててくれていたんだね。辛かったろうに……本当に申し訳なかった」


蒼斗に視線を送りながら、お父様は謝罪の言葉を口にした。

これは……夢?
予定では蒼汰さんと蒼斗の再会が終ってから、私がご両親に『蒼汰さんともう一度やり直すチャンスをください』と言うつもりだった。

それなのに、先に謝罪を受けてしまって頭の中がプチパニックだ。
頭を上げたお母様も蒼斗を優しい目で見つめてから、再び口を開いた。


「蒼汰にね……縁談を申し出ても『莉乃以外考えられない』と断られ続けていたの。ずっと莉乃さんを探していたのよ」

「そのうちに莉乃さんと再会したと聞いたんだ。しかも、子どももいると……」


申し訳なさそうな表情を浮かべ、お父様は俯いた。


「子育てが1番辛いときに莉乃さんに辛い思いをさせてしまって……本当に申し訳なかったと反省したの。あの時……私があんなことを言わなければって……」


口元を押さえて、お母様は涙を流し始めた。

これは……とても演技だとは思えない。
お父様とお母様の表情を見た限り、本心で謝罪の言葉を述べているのだと思う。

確かに、4年前に私は心に大きな傷を負った。
どんなことを言われたか鮮明に覚えているし、一生忘れることはできない。
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