再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
それに、今や月収は200万越えが当たり前。
今さら正社員で、月15万程度の生活なんてやっていけるわけがない。


「それじゃ、またお待ちしてまーす」


それから中川さんと軽く世間話をして、次の常連客の席へと向かうために席を外した。
次のお客様は某有名IT企業の代表取締役。

ここでも高級なシャンパンのおねだりに成功して、今日私だけで500万程度は稼いでいる。
さらにめぐみさんやほかの子たちの売り上げも合算すると、信じられない金額になっていると思う。

お店が閉店する0時には、みんなクタクタだった。


「莉乃、お疲れ様」

「めぐみさん、お疲れ様でした」

「相変わらず、今日も絡まれてたね」

「本当めんどくさい」


ドレスから私服に着替え「はぁ」と大袈裟にため息を漏らす。

私たちだけでなくほかの子たちもお客様の愚痴を漏らしているのが聞こえてきているけれど、もう日常茶飯事だ。
きっと、みんなそれぞれ思うことがあるんだろうな。


「……あっ」


そういえば、思い出した。
この後、高森先輩と約束をしているんだった。

中川さんたちの愚痴に付き合っていたら、そんな約束をしたことなんてすっかり忘れていた。


「どうした?」

「ううん、なんでもない。今日は疲れたし、早く帰るね」
< 14 / 170 >

この作品をシェア

pagetop