再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
過去を上書きするために、蒼斗が産まれるまでに医療事務の資格も取得した。
蒼汰さんを忘れようとして、優太さんと付き合ったこともあった。

でも、なにをしても蒼汰さんの存在は消えなくて、いつも私の心の中に存在していた。

それはきっと、蒼汰さんが私の特別だから。
蒼斗の、本当の父親だから。

もう、それしか考えられない。


「蒼汰さんとの、結婚を認めて欲しいです」


4年もの間ずっと心に秘めてきた想いを、今人前で初めて口にした。

その瞬間、ふっと肩の荷が下りたようで、身体が軽くなったような気がした。


「もちろんだよ。許さない理由なんてない」

「莉乃さん、蒼汰をよろしくお願いします」


そう言いながら、深々と頭を下げたご両親。
ふと横を見ると蒼汰さんと目が合って、優しい笑顔で私を見つめてくれていた。

大きな壁を乗り越えられることができて、なんだか少し成長したような気がする。

過ぎてしまった時間は取り戻すことはできないけれど、私たち家族はこれからなんだ。


「ママぁ、おなかすいた」

「えっ、あ……もうこんな時間なんだ」


ふと時計に目を向けると、もう12時前。
時間なんて気にならないくらいだったけれど、確かに蒼斗のお腹が空く時間だ。
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