再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

でもその前に、蒼斗にもちゃんと伝えなければ。

ずっと欲しがっていた、父親の存在。
保育園に通い始めてから「あおのパパは？」と聞かれることがあった。

「蒼斗のパパは、忙しくて遠くにいるんだよ」と誤魔化してきていたけれど、我ながら適当な発言だったなと思う。

そんな適当な誤魔化し方でも納得してくれていた蒼斗。
親子参加の行事では、いっぱい寂しい思いをさせてしまったけれど……もう、その必要もなくなるんだ。


「蒼斗、ご飯の前に、よく聞いて欲しいことがあるの」


私は椅子から立ち上がると、蒼斗をこちらへ向けて蒼斗の前にしゃがみ込む。
今からなにを伝えようとしたのか理解した蒼汰さんも、私の横にしゃがんで、蒼斗と向き合ってくれた。

そして、蒼斗の両手をぎゅっと握る。
その瞬間色々な想いが込み上げてきて、涙が出そうになる。

小さな蒼斗の手。今日まで、たくさん我慢をさせてきたよねーー。


「蒼斗。今、ママの横にいるのはね、蒼斗のパパなの」

「……あおの、パパ？」

「そう。蒼斗の、本当のお父さん」


目をまん丸にして、キョトンとしたままの蒼斗。

……やっぱりな反応だ。
突然そんなことを言われても、受け入れられないよね。

さっき話したときは嬉しそうにしていたけれど、いざ改めて言われるとどうしたらいいのかわからないのかもしれない。