再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
とは言っても、さすがにどうかなぁ……と思っていると、蒼汰さんが「大丈夫」と小さな声で言ってくれる。

とりあえず、今日はお言葉に甘えるとしよう。
蒼斗も、もうすっかり乗り気な様子だし、ここでまた駄々をこねられても困る。


「すみません……じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」

「それじゃあ、出発だ。蒼汰、運転を頼むよ」

「あぁ。それじゃあ行こうか」


蒼汰さんの言葉を合図にして、それぞれに支度をしてから車へと向かう。

後部座席のドアを開けてもらうと、ジュニアシートが目に入り驚いた。
結婚したときは、なかったのに。

私に子どもがいると知り、購入してくれていたんだ。
そういう心遣いが、心に染みる。


「蒼斗、これに乗れるか?」

「これ、あおの?」

「そう。蒼斗専用だ。かっこいいだろ?」

「うん!! すっごいかっこいい!」


大喜びの蒼斗を抱きかかえた蒼汰さんは、蒼斗をジュニアシートに乗せた。

確かに、よく見ると普通のジュニアシートよりちょっと高そう。
私が直接見て購入したわけではないから、性能とかはわからないけれど、いいやつを購入してくれたんだろうな。

まだ会って間もないのに、もうすっかりいいパパだ。
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