再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

人生で1番幸せな日

新緑が美しい季節。
ゴールデンウイークも終了し、世間はすっかり通常モードだ。

4月から私は、高森クリニックの医療事務として働いている。
3月中旬から関原クリニックの退職手続きや引っ越しの準備でバタバタだったけれど、新生活に向けての準備は楽しかった。

毎日忙しくて結局入籍はまだ済ませておらず、苗字は西野のまま。
予定では、ゴールデンウイーク明けでの繁忙期が落ち着いてから入籍に行く予定だ。



「西野さん、さすがは経験者ね。仕事が早いわ」

「そうですかね。ありがとうございます」


カタカタとパソコンを打ち込んでいる私の横でそう言ってくれたのは、高森クリニックで勤務して10年にもなるという荒木さん。

荒木さんいわく、去年短大を卒業して新卒で採用した21歳の女の子が1年で退職してしまったらしい。

退職理由が『勤務時間が長い』と、あまり理解ができない内容だったことには驚いたけれど。
最近の若者って、こんな感じなの?

そんな中私が入社することとなり、経験者ということで荒木さんはよく褒めてくれる。

夜働いていたときも、褒められることはよくあった。

でも、なんだろう。
あのときと今では、褒められたときの嬉しさが違う。

苦労して資格を取得をして、勤務しているという充実感があるからなのだろうか。
わからないけれど、褒められると素直に嬉しい。
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