再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
いや。でも、嬉しいことには間違いないけどね。

ドキドキしながら10分くらい歩くと、パスタ専門店が見えてきた。
私が思っていた以上に、クリニックの近くだ。


「お、まだお店に入ってないのにいい匂いする」

「本当ですね。なに食べようかな」

「カルボナーラだろ?」

「うーん、そうですけど。いろいろ目移りしそうで」


「まぁ、何回でも来たらいい」と言いながら、お店のドアを開けた蒼汰さん。

……そうか。これからこの先、何度も来れるんだ。
しかも、彼と一緒に。

そう思うと、なんだか嬉しい。
それと同時に、カルボナーラを注文する気持ちも薄れた。

だって、何度も訪れたいもん。
次は家族で……とか。まるで子どもみたいに、これからの未来にワクワクする自分がいた。


「いらっしゃいませ」


お店に入ると、ウエイトレスさんがニッコリ笑顔で席へと案内してくれた。
椅子に腰かけて、店内を見渡して見る。

このお店は、前に行ったお店とは少し違う内装だ。
おしゃれなのはおしゃれだけど、なんだろう。

まるで、結婚式場がイメージされているような……。


「結婚式場みたいだな」

「えっ? あ……そうですね」


一瞬、心を読まれたのかと思った。
でも、蒼汰さんもそう感じるくらいそういう雰囲気なんだろうな。
< 159 / 170 >

この作品をシェア

pagetop