再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
「あの……とりあえず場所変えましょう」


行く当ても決まっていないけれど、お店から離れなければ。

仕事を終えた子たちがそろそろ出てくるはずだから、見つかったらまずい。
高校時代の先輩とはいえ、お客様と密会なんてことがバレたら私の居場所がなくなってしまう。


「行く場所あるのか?」


スタスタとお店の反対方向へと進む私の背後で、高森先輩が言う。
ある程度お店から離れた私は、足を止めた。

行く場所なんて、ない。
だってもう夜遅いし、開いているお店なんて違法で開けているお店くらいだ。

どうしようかと考えていると、高森先輩が私の腕をグッと引っ張り再び歩き出した。


「えっ……ちょ、どこ行くんですか!?」

「とりあえず、人気のないところ」


言われるがままに高森先輩について行くと、連れて来られたのはまさかのラブホ街。
嘘でしょ……。もしかして、私を抱こうとしてる?

それだったら、今すぐにでもこの場を離れた方がいいような気がする。


「ちょ、ちょっと待ってください! ここでなにするつもりなんですか?」

「お前なぁ……密会がバレたらやばいんじゃないのか?」

「えっ……」


もしかして、ここを選択したのは私のため?
私がお店以外で男性と会っていると知られたらまずいから、このラブホでってこと?
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