再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
シャンパンの飲みすぎだから? この状況にドキドキしているから?

なんだか、思考回路が上手く回っていないような気がする。
でも、なにか話さなきゃ。


「西野……お前、なんであんな店で働いてるんだ?」


沈黙を破ったのは、高森先輩の方だった。しかも、いきなりその質問?

いきなりデリカシーのない質問を投げつけられて、返答に困ってしまった。
それなのに、高森先輩はさらに続ける。


「バスケ部で一緒だったとき、真面目だったよな?」

「……えっと、まぁ。お金に……困ってまして」


もういいや。
隠したって、なんの得にもならない。

それに、私がどんな人物だったかを高校時代を知っている人だ。隠したって、すぐ嘘だとバレるに決まっている。


「お金に? 仕事はしていたんだろう?」

「まぁ……そうなんですけどね。それより、高森先輩はどうしてあのお店に?」


これ以上私の金銭問題について聞かれるのはさすがに嫌で、無理矢理話しを逸らした。

私だって、気になっていた。
お医者様である真面目な高森先輩が、どうしてあんなお店に来店したのか。

さっきは「暇つぶし」だっていっていたけれど、本当にそれだけなのかな?
本当に暇つぶしなのかもしれないけれど、なんとなく胸になにかが引っかかるような感覚になっているのだ。
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