再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
そんな風考えれば考えるほど悲しくなっていき、私は誘い込まれるようについに夜の街へと飛び込んだーー。


「なんだかさぁー、俺、もう仕事辞めちゃおっかな」

「えぇ? なに言ってるんですか。中川さん、毎日頑張ってるのに」


ーー煌びやかな店内。高級なシャンパン。それに、キラキラのパーティードレス。


「それじゃあさ、柚葉(ゆずは)ちゃんが毎日癒してくれるならより頑張れるかなぁ」

「あははっ、お待ちしてますよ。さ、飲んで飲んで」


トトト……と、この店1番の高級シャンパンが、グラスに注がれていく。

こんなやり取りを毎日のように繰り返し、初めは上手く出来なかったお客様との対応も徐々に上達して、気が付けばお店の人気No.1にまで上り詰めた。

そうともなれば月給どころか日給が3桁ということもよくあり、生活に困ると言うことはなくなったのだ。
欲しかったブランド物は簡単に手に入る、外食は増える。

プチプラコスメは一切使わなくなり、No.1を維持するためにエステなどの美容にたくさんお金を掛けるようになった。クローゼットが満タンになるくらいの洋服や靴だってある。


もう、困ることはなにもないーー。
そんな生活に、もうすっかり慣れてしまった。


「まだ入って半年なのに、No.1ってすごいよ」
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