再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
少しだけ首を傾けて、高森先輩を見つめる。
なんとなく今日は様子が違うのは、私の気のせいだろうか……。

そして短い沈黙の後ゆっくりと口を開いた高森先輩は、とんでもないことを私に提案した。


「西野、俺と結婚しないか？」

「……はい？」


聞き間違いだろうか。
そう思った私は目を大きく見開いて、高森先輩を見つめる。

だって、そんなことありえない。
つい1ヶ月ほど前に再会したばかりで、ただの飲み友として会っているだけの相手といきなり結婚だなんて。

頭が良くてしっかりと計画性を持って行動できるはずの彼が、そんな簡単に『結婚』というワードを口にするなんてありえない。


「……酔ってます？」

「酔ってない。結構本気なんだけど」

「でも……先輩、付き合っている人、いましたよね？」


高校時代、彼女一筋だった彼。
そんな調子だったから、今もずっとその彼女と続いていると思っていたのに。違うの？


「彼女なんていたら、西野と会うわけないだろ」

「え……」

「それに西野、お金に困ってるから今の仕事してるんだろ？　俺と結婚してくれたら、今後の生活費は保証する」


なんとも自分勝手な提案に、内臓がひっくり返ってしまいそうな感覚を覚えた。
今後の生活費の保証をするから結婚する？　そんな愛のない結婚は、私にはごめんだ。
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