再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
今、必要なものーside.蒼汰ー
「おい、蒼汰。結婚はまだなのか?」
それはまだ莉乃と再会する前の9月上旬のころ。
この日は実家ーー高森皮膚科クリニックに手伝いに来た日のことだった。
外来診療時間が終わり、そそくさと帰ろうとした俺を「夕食くらい食べて行きなさい。水臭いわね」と止めた母。
渋々承諾したものの〝結婚〟について追及してくる父。
今日の夕食のメニューである肉じゃがをつつきながら、顔を見れば決まり文句のように同じことを繰り返し言っている。
いい加減、耳にタコができそうだ。
「蒼汰。聞いてるのか?」
「……はい」
やはり、どうも居心地が悪い。
父とは目を合わせることもせず、副菜であるほうれん草のお浸しをひたすら口へと運んでいく。
「今、素敵な女性はいるの?」
横から口を挟む母も、父ほどではないが結婚に対して追及してくることがある。
もともと大学病院のナースとして勤務していた母は、そこで出会った父と大恋愛の末結婚した。
父のクリニック開業を機に大学病院を退職し、もう30年近く父を支えている。
母の問いかけには答えずに湯呑の緑茶を啜っていると、父が再び口を開いた。
「結婚するなら、いい家柄の女性でないといけない。例えば……ナースのすみもとさんなんてどうだね?」
それはまだ莉乃と再会する前の9月上旬のころ。
この日は実家ーー高森皮膚科クリニックに手伝いに来た日のことだった。
外来診療時間が終わり、そそくさと帰ろうとした俺を「夕食くらい食べて行きなさい。水臭いわね」と止めた母。
渋々承諾したものの〝結婚〟について追及してくる父。
今日の夕食のメニューである肉じゃがをつつきながら、顔を見れば決まり文句のように同じことを繰り返し言っている。
いい加減、耳にタコができそうだ。
「蒼汰。聞いてるのか?」
「……はい」
やはり、どうも居心地が悪い。
父とは目を合わせることもせず、副菜であるほうれん草のお浸しをひたすら口へと運んでいく。
「今、素敵な女性はいるの?」
横から口を挟む母も、父ほどではないが結婚に対して追及してくることがある。
もともと大学病院のナースとして勤務していた母は、そこで出会った父と大恋愛の末結婚した。
父のクリニック開業を機に大学病院を退職し、もう30年近く父を支えている。
母の問いかけには答えずに湯呑の緑茶を啜っていると、父が再び口を開いた。
「結婚するなら、いい家柄の女性でないといけない。例えば……ナースのすみもとさんなんてどうだね?」