再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
もちろん、大学病院で働くナースから好意を寄せられることは多々あったが、それは『高森蒼汰』という人物が好きなのではない。
ーーただ、『医者』というステータスに惚れているだけだ。
それをよくわかっている俺はナースたちの好意に気付かないフリをして、ひたすら目前のやるべきことに集中した。
多分俺は、冷たい人間だと思われているはずだ。
それでも、めんどうな結婚を強いられるよりはよっぽどいい。
そう思っていたときだった。
「お前、顔が疲れてるぞ。息抜きでもしてこいよ」
ある日の当直前のこと。同期で同じ診療科医として勤務している青木から、声を掛けられたのが始まりだった。
青木からそんなことを言われたのは初めてだったが、心当たりは多々ある。
他院からの紹介患者の受け入れに伴う難しい症例のオペ。そして最近、『黒子除去のためにレーザー治療をして欲しい』という患者が増え、午後はそのレーザー治療に費やす時間が多くなった。
そして、両親からの結婚の催促……。
今の俺にとって、正直これが1番厄介なのかもしれない。今は、とても結婚なんて考えられる余裕なんてないのだ。
「息抜き、か」
更衣室で紺色のスクラブに着替え、鏡に自分の顔を映してみる。
確かに……青木に言われた通りだ。
覇気がないというか、疲れた顔をしている。
ーーただ、『医者』というステータスに惚れているだけだ。
それをよくわかっている俺はナースたちの好意に気付かないフリをして、ひたすら目前のやるべきことに集中した。
多分俺は、冷たい人間だと思われているはずだ。
それでも、めんどうな結婚を強いられるよりはよっぽどいい。
そう思っていたときだった。
「お前、顔が疲れてるぞ。息抜きでもしてこいよ」
ある日の当直前のこと。同期で同じ診療科医として勤務している青木から、声を掛けられたのが始まりだった。
青木からそんなことを言われたのは初めてだったが、心当たりは多々ある。
他院からの紹介患者の受け入れに伴う難しい症例のオペ。そして最近、『黒子除去のためにレーザー治療をして欲しい』という患者が増え、午後はそのレーザー治療に費やす時間が多くなった。
そして、両親からの結婚の催促……。
今の俺にとって、正直これが1番厄介なのかもしれない。今は、とても結婚なんて考えられる余裕なんてないのだ。
「息抜き、か」
更衣室で紺色のスクラブに着替え、鏡に自分の顔を映してみる。
確かに……青木に言われた通りだ。
覇気がないというか、疲れた顔をしている。