再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
大学病院での勤務をありがたく思いながら、ポケットにスマホと財布を突っ込んで、病院をあとにした。

大学病院から徒歩10分程度のマンションに住んでいる俺は、当直が終わってからすぐに帰宅。
くたくたになった身体を1秒でも早く休めるべく、食事も摂らずにソファに横になった。

……明日は1日オフの日だ。
久しぶりにオンコール待機もなく、急遽病院から呼び出されることもない。その安心感からなのか一瞬にして瞼が重くなり、夢の中に誘われてしまった。



「やべ……爆睡したな」


重い身体を起き上がらせ、スマホで時刻を確認すると夜の17時を回ったところだった。

ありえない。こんなに爆睡してしまうなんて、思っていなかった。
その間病院からの連絡もなく、俺の受け持ち患者も急変などはないようだ。

ソファから起き上がりシャワーを浴びながら、青木から言われた言葉を何度も脳内で反芻する。


『たまには息抜きしてこいよ』


何気なく掛けてくれた労いの言葉かもしれないが、考えてみればここ最近息抜きらしい息抜きをしていない。

それはもちろんいつ病院から呼び出しがかかるかわからないし、外出しても病院専用のスマホは手放せないからだ。
出かけても呼び出されるくらいなら……と、外出を控えていたのもある。


「たまには……か。出かけてみるか」
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