再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
その人たちのストレス発散のための、話し相手になることが私たちの務めだ。
ある程度のリピーターさんもいて、そこそこ高級なシャンパンを何本もオーダーしてくれていたのに……。


「まぁ、こんなときもあるよ。また次頑張ろう」

「うん、そうする」


めぐみさんに励まされたものの、納得いかない結果にすっかり意気消沈してしまう私。

人というのは本当に欲張りなもの。
この世界に入るまでは月収15万程度でも満足していたはずなのに、今は少し少ないだけで「今月はダメだった」と思ってしまう。

1ヶ月……いや、それ以上は余裕で生活できるだけのお金はあるはずなのに。
そんなことを考えながら真っ赤なパーティードレスを身にまとい、めぐみさんと一緒にホールへ向かった。

今日のめぐみさんは、白のミニドレスに15cmほどのヒールの高さがあるキラキラのパンプス、といったスタイル。
もともと身長が高いめぐみさんは、なにを着ても、なにを履いても様になっているので羨ましい。

今はお店の人気No.2で、話し上手で聞き上手、といったところだ。


「柚葉ちゃん、早速指名来てるよ」

「はぁい、行きます」


ホールへ出てすぐ、この店の案内人として働いている田端くんの声が聞こえてくる。
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