再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
ボーイにそう伝えると「かしこまりました」と言って俺を1番奥の席へと案内してくれた。

席について冷静になってみると、入ったお店を間違えたかもしれないと思う。
もっとこう……落ち着いたお店にすればよかたっと、今なって後悔。

いい加減な気持で入店した俺を、きっとボーイは「変わった人だな」と思ったに違いない。


「こんばんわ。ご指名ありがとうございます」


考え事をしているところへ現れたのは、真っ赤なドレスを身に纏った小柄な女性だった。
にこにこしながら俺の横に座った彼女は席に着くなりメニュー表を開いて、「なににしますか?」と質問を投げかけてくる。

この子……どこかで見たことがあるような気がるのだけれど、俺の間違いだろうか?


「初めましてなんですよね? 柚葉って言います」

「……どうも」


初めましてなのだろうか。どうも、なにかが引っかかる。


「なにオーダーします? 最初は、これとかおすすめなんですよ」


彼女は様々な種類のお酒の名前が載っているメニュー表を見せて、初心者向けのお酒を指差した。

色々おすすめしてくれているようだが、初めて見るお酒の名前ばかりでなにが美味しいのかわからない。
中には1本100万円程のシャンパンも載っていて、目が飛び出そうになってしまった。
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