再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
さすがに初来店の店で、こんなに大金は払えない。というより、払いたくもない。


「なんでもいいよ。とりあえずおすすめで」

「じゃあ、ヴーヴ クリコのホワイトをオーダーしますね」


そう言った彼女は右手を挙げて先ほどのボーイを呼ぶと、ヴーヴ クリコと呼ばれるシャンパンをオーダーした。

たったこれだけで、2万……。
以前大学病院の同期たちと飲みに行ったとき、3人で2万ほどだったような気がする。

その2万が、たったこのシャンパン1本で飛んでしまうとは。


「はい、どうぞ。乾杯しましょ」

「……あぁ、どうも」


いつの間にかシャンパンの栓を開けてグラスに注いでいた彼女は、2つのうちの1つを俺に手渡す。

ライトに照らされてキラキラと輝くシャンパンは、甘い香りを漂わせている。
……まずい。匂いだけで酔てしまいそうだ。

普段からお酒を口にすることは少ない俺には、少々きつい。
そんな俺とは異なりお酒慣れしている彼女は、当然のようにしてシャンパンを口にした。


「あ、やっぱ美味し。美味しいでしょ?」

「俺には少し甘いかもしれない」

「そうでしたかぁ。まぁ、また色々オーダーしましょうよ」


そう言いながら笑った彼女を見て、ふと昔の記憶が過った。

そうだ。思い出した。
この笑顔は、間違いない。彼女は、高校時代のバスケ部の後輩だ。
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