再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
それ以降は女性のことが信用できなくなって、恋愛というものには一切興味がなくなったけれど。
どうも、俺にクリニックのあとを継いで欲しい両親にとっては、そいいうわけにはいかないらしい。

まぁ、俺の事情なんて知りもしないのだろうけれど。
……いや。そんなことはどうでもいい。

今、なぜここに莉乃がいるかということが問題だ。


「まともな就職先ないのか?」

「そ、そういうわけではなくて……」


動揺しているのか目を泳がせながら、莉乃は上手い言い訳を考えている様に見える。

おおかた、金銭面で問題があるのだろう。
1本1万円もするシャンパンが置いてあるような場所だ。俺だって、そんなにバカじゃない。


「そういう高森先輩だって、どうしてこんなところへ?」


話を逸らすかのように、今度は莉乃が俺に質問を投げかける。


「俺はただの暇つぶし。それ以外の理由なんてない」

「……暇つぶし」

「毎日毎日、大変なんだよ。時期院長だからって、変に期待されてるから。早く結婚もしろって、親から言われてそれも負担だ」


お酒の勢いもあってか、俺はつい本音を漏らしてしまった。

まだあまりお酒を口にしてはいないが、こんなにアルコール度数の高いお酒を飲む機会は少ない。
早い段階で、酔いが訪れてきているようだ。
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