再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
新婚旅行も、この先に待ち受けているであろう『夫婦の営み』も。
政略結婚をする私とではなく、本当に一生を共にする相手として欲しい。


「先輩……その、」

「着いたぞ」


途中まで話しかけたところで、高森先輩に話を遮られてしまった。

車は高森クリニック兼自宅の駐車スペースに停められ、2人で車を降りる。
正面入り口の自動ドアには【12月29日~1月6日まで、休診とさせていただきます】との張り紙がされていた。


「莉乃、こっち。自宅の玄関は裏側なんだ」


言われた通りに高森先輩のあとをついて行くと、自宅の入り口がある。

……すごいなぁ。
クリニックと自宅が一緒になっているなんて。

クリニックじたいはずっと前からあるのに建物はとてもきれいだし、庭の花木もとてもきれいに剪定されている。
やっぱり……先輩はとてもいい家柄の人。

私なんかが先輩の結婚相手として紹介されるなんて、本当に大丈夫なのだろうか。

そんなことを考えているうちに先輩は玄関のドアを開け、家の中に向かって「ただいま」と言っている。


「蒼汰さん! お帰りなさいませ」

「あぁ。父は?」

「リビングでお待ちでございます」


出迎えてくれたのは、40代前半くらいの女性。

見るからに高級であろう玄関マットの上にきれいにスリッパを並べてくれている女性は、エプロンを付けている。
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