再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

うぅ……どうしよう。やっぱり怖い。
それに気のせいなのか、さっきから胃が痛いような気がする。

軽い気持ちで引き受けた結婚だったけれど、思っていた以上に敷居は高いのかもしれない。

キリキリと痛むお腹に手を当てながらリビングを通り抜けると、なんと。案内されたのは応接間。
大きな窓からは先ほどの綺麗な庭が見えていて、部屋の端っこには美しい百合の花が生けられていた。


「まぁ、座りなさい」

「……し、失礼、します……」


緊張で絞り出すような声でそう言ってから、医院長と向かい合うように、そして高森先輩と並んで座布団の上に正座した。

正直言って、吐きそうなくらい緊張してる。
これからどいいう話をされるのかまったく予想もつかないし、もし結婚を反対されたら計画も台無し。

そんな思考を脳内でぐるぐる巡らせていると、松林さんがあたたかいお茶を運んで来てくれた。


「ありがとうね」

「いいえ。今日は特別な日になりそうで」

「あぁ、そうだね。いい話が聞けそうだよ」

「ふふ。ごゆっくりされて行ってくださいね」


嬉しそうな笑みを浮かべながら「では、失礼します」と丁寧にお辞儀をして、松林さんはその場を離れた。

再び訪れた沈黙が、さらに緊張感を煽っていく。