再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
このやり方が、私の初来店のお客様へのやり方。
低価格なシャンパンももちろん美味しいけれど、高級なシャンパンの方が美味しいに決まっている。

だからこそまずは低価格なシャンパンをオーダーして「もっと色々試してみましょうよ」と言って徐々にシャンパンのランクを上げていくのだ。


「それよりさぁ……」

「どうかしましたか?」


空になったグラスにシャンパンを注ぎながら、彼の方へ耳を傾ける。


「お前、こんなところでなにしてんの?」


彼の口から出た言葉に驚いて、シャンパンを少しこぼしてしまった。

……なに? やっぱり初対面じゃない。
それに、彼も私とは初対面ではないということをわかっていたの?


「え……え、っと?」

「お前、高校のときバスケ部だったろ?」

「あっ……」


なんとなく、思い出してきたかも。
高校のとき……バスケ部。もしかして彼は、部活の先輩?


「覚えてないの?」

「え……いや、その……ところどころしか思い出せないというか」


いや違う。本当は、バスケ部と言われて思い出した。

彼は、間違いなくバスケ部の先輩。
それも、成績も優秀で運動神経抜群、みんなの憧れの(まと)だった高森蒼汰さんだ。

私も密かに思いを寄せていたけれど、彼には当時付き合っている彼女がいたらしく、ほかの女の子たちには全く興味を示さなかった。
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