再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
「今日出勤したら明日休みだし、頑張ろ」


そう言いながら受付に戻ってきた安達さんは、椅子に掛けてあったブランケットを膝に掛けた。

そうだ。明日は、私が出勤する番だったっけ。
ふと受付カウンター下に置いてある卓上カレンダーに目を向けると、確かにマル印がしてある。

開業医である関原クリニックは土曜日の午前中は外来をしていて、患者さんが少ない土曜日の医療事務職は交代で出勤となっていた。

出勤日のみ休日保育で蒼斗を預けての出勤になるけれど、生活のためだ。
頑張らなければ、私も蒼斗も食べていけない。


「おはようございまーす」


しばらくすると各々あいさつをしながら、看護師さんたちが入ってくる。
そろそろ、診察開始だ。

初めは蒼汰さんに会うのではないかとヒヤヒヤしていた。
でも、内科と皮膚科ではそうそう接点もなく、妊娠中も蒼斗を産んでからも蒼汰さんには会っていない。

私にとってはそれで好都合だったし、みんなと助け合いながら子育てと仕事をしている感じで、ここでの勤務を決めてよかったと思っている。


「どうも、おはようございます。よろしくお願いします」

「あ、はい。診察券、お預かりしますね」


看護師さんたちがバタバタ準備をしている間に1番に診察受付をしたのは、定期受診している80歳の大角さん。
< 92 / 170 >

この作品をシェア

pagetop