再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
「ごめん。ありがとう、助かった」

「いえ、大丈夫です。また言ってください」


と、軽く会話を交わしているうちに、あっという間にルート確保をして点滴を繋いでいく看護師さん。
さすが。かっこいい。

患者さんに点滴が繋がれたことを確認してから、再び受付に戻る。


「大丈夫? 結局、ただの熱?」

「はい。検査はすべて陰性だったみたいですよ」

「そう、よかった。いつ感染するかわからないもんね。私たちが感染したら、子どもに移るし」

「本当、そうですよね」


そんな会話をしていると、診察を終えた患者さんのカルテが受付に運ばれてきた。
看護師さんからカルテを受け取り内容を確認後、パソコンで診察料を出す。

私たちの仕事は、それの繰り返し作業だ。
初めはパソコン操作に慣れずにもたついたりもしていたけれど、今では簡単に作業できるようになった。


「池田さーん。お待たせしました」


私が名前を呼ぶと、椅子からゆっくりと立ち上がって受付に向かってくる池田さん。
池田さんは糖尿病でインスリン注射を処方している72歳の男性。

しかも、1型糖尿病という糖尿病の中でもごく稀な方の病気だ。
1型糖尿病は2型糖尿病とは違い、食後のインスリンが分泌されない。
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