山寺兄弟の深すぎる愛
「え……」
「ここ、誰か来るんですか?」

「「は?」」
祭理以外には、警戒心と嫌悪感が凄まじい風龍と虎空。

学生達を睨み付けた。

「ご、ごめんなさい……」
そう言って、祭理に助けを求めるように見る。

「あ…
フウちゃ…クウ…ちゃん…」
二人の服を少しつまみ、引っ張った。

「ん?どうした?」
「お腹空いた?」

「そ、そうじゃなくて…
そこ、あいてるでしょ?
だから━━━━━」

「は?あいてるからって、座っていいとは限らねぇよ?」
「僕達は、祭理以外視界に入れたくないんだよ?
なのに目の前にクズがいたら、視界に入るでしょ?」

「で、でも……」

「あーもぅー!!!!」
ガンッ!!!と、風龍がテーブルを蹴る。

「ひっ!!!?
フウちゃ……」

「祭理、外出ようぜ!!」

「え……ら、ランチ…は?」

「ここにいたら、祭理が気を遣うだろ?
お前等のせいで!!!」
学生達を睨み付けながら、責めるように言った。

「バカなお前等に言っておく。
今後、僕達の前に現れないで。
ついでにさ、一年達全員にシェアでもしといてよ。
“次、祭理を傷つけたり、困らせたりしたら……
言葉通り、消えてもらう”って。
最近は便利だよね~
SNSなんてものがあるから、すぐに広まるでしょ?
━━━━━さぁ、祭理。行こ?」

虎空が、祭理の腰を支え立ち上がらせた。
そして手を握り、出口の方に引いていく。

「クウ、先出てて。
俺は、返金してもらって出る」
「ん」

返金してもらい、もう一度学生達を鋭く見る。
「お前等、一年?」

「え?あ、は、はい!」

「だったら、教えといてやる。
この大学には、暗黙のルールがある」

「え?」

「俺達に話しかけていい人間は、限られている。
俺達の視界に入るな。
あとさ。
祭理は、俺達の特別だから。
あいつに話しかけていいのは、俺と虎空だけ。
虎空が言ってたように困らせたり、傷つけたら許さねぇから。
俺はまだ情があるつもりだが、虎空は違う。
虎空に、祭理以外への情は存在しない。
だから殺るのに、戸惑いも躊躇いもない」

そう言って、風龍も出ていった。


風龍が学食を出ると、虎空と祭理が外のベンチに座っていた。
足を組んだ虎空が祭理の腰を抱き、二人は微笑み合って話をしていた。

誰がどう見ても、仲の良いカップルに見える。

風龍の嫉妬心に火がつく。
風龍は声を張り上げて祭理を呼んだ。

「祭理!!」
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