山寺兄弟の深すぎる愛
すると風龍に気づいた祭理が微笑み、駆け寄ってくる。
それだけで、とても幸せな気持ちになる。

「フウちゃん!今、クウちゃんと話してたんだけど、お好み焼き食べよ?」
見上げて微笑む祭理に、風龍も思わず微笑んだ。

三人は、近くのお好み焼き屋に向かった。
ボックス席に通され、やっぱり片側に三人並んで座る。
「腹減ったな」
「遅くなっちゃったね」

「「あの女達のせいだな」」

「あ、でも!ほら!
お好み焼き、私好きだし!」
風龍と虎空の機嫌を落ち着かせるようにに話す、祭理。
祭理の笑顔に、風龍と虎空もつられるように笑った。

三人別々のを頼み、一緒に食べることにした。
タネが来て焼き、仲良く食べ始める。

「ん!美味しい~!」

「「………プッ!!」」
微笑んで頬張る祭理を見て、噴き出す風龍と虎空。

「ん?何?」

「祭理、ついてんぞ!(笑)」
「へ?」
「ソース!」

「う、嘘!?
ど、どこ!?」
慌てて鏡を取り出す。
鼻の頭にソースがついていた。
紙ナプキンで拭き取る。

「大口で頬張ってたもんなぁー(笑)」
「可愛い、祭理!」

「は、恥ずかしい…/////」
顔を赤くしてはにかむ祭理を、風龍と虎空は愛おしそうに見ていた。


それから午後の講義を終え、帰路につく。
帰りは比較的座席に座れるので、並んで座る。
真ん中に座る祭理を、うっとりと見つめている風龍と虎空。

「あ、そうだ。
帰ったら、ちょっと部屋に籠っていいかな?」
両側に座る風龍と虎空の顔を窺うように言う、祭理。

「「なんで!!?」」
祭理と離れることを極端に嫌う二人は、途端に不機嫌になり声を荒らげた。

「今朝話したでしょ?
アクセサリーのこと。
もうすぐ出来上がるから、夕食までに仕上げて二人に渡したいの。
だから、お願い!」
手を合わせて懇願してくる祭理に、しかたなく頷いた。


「━━━━じゃあ、頑張って仕上げるね!」
部屋にはいっていく祭理を、切なそうに見る。

カシャンと閉まったドアを、しばらく見つめていた二人。
「なぁ、クウ」
「ん?」

「もう、内緒じゃないんだよな?アクセ」
「そうだね」

「じゃあ…」

「「入っていいよな?」」
二人は顔を見合せ、頷いた。
< 13 / 45 >

この作品をシェア

pagetop