山寺兄弟の深すぎる愛
ノックをすると、祭理の「はーい」と言う可愛い声がドア越しに聞こえてくる。

ドアを開ける中に入る。
祭理は小さなローテーブルの上でミサンガを作っていた。
「あ、待って!もう少しだから」

二人を見上げ言う祭理に、風龍と虎空はそのまま祭理の両隣にあぐらをかいて座った。

「え?どうしたの?」

「ここで待ってる」
「傍にいさせてよ」

「う、うん。
でもなんか、緊張する…//////」

風龍と虎空がローテーブルを見ると、同じ柄のミサンガが二つ並んでいて、同じく同じ柄の最後の一つを仕上げているところだった。

スマホで調べた、ミサンガの作り方手順の動画を見ながら丁寧に作っている。
器用ではないが、心のこもったミサンガを見ながら風龍と虎空はとても穏やかで優しい気持ちになる。

ただ……祭理を見つめていた。


「━━━━━よし、出来…た……!!」

「おっ!!」
「お疲れ様!!」

「三人とも、同じ柄だよ!
えーと…こっちの二つがフウちゃんとクウちゃんね!
こっちは少し短いから、私!」

「ありがと!祭理!」
「フフ…綺麗だね!ありがとう!祭理」

「うん!
ごめんね、やっぱり不器用さがにじみ出てるミサンガになっちゃった(笑)
これでも、初心者用の一番簡単なやつなのに…」

「何言ってんだよ!
祭理が俺のために作ったことに意味があるんだから!」
「また、宝物が出来た!嬉しいな!」

二人とも大切そうに、ミサンガを両手で包み込み祭理に微笑んだ。
そしてすぐにつけてくれた。


三人で一緒に夕食を作り、仲良く食べている。
「━━━━ほんとはね」
ポツリと祭理が口を開く。

「「ん?」」

「 ミサンガ、イニシャルとかハートとか、入れようと思ってたの。
でも難しくって出来なくて……」

「へぇー!でも、これも綺麗だぞ?」
「うん!シンプルで良いよ!」

「ありがとう!
二人は、いつも褒めてくれるね!
二人からしたら、私なんか全然なのに……」

「「当たり前じゃん!!」」

「俺にとって、祭理が一番なんだから」
「僕にとっても、祭理が全てだよ!」

夕食が済み、仲良く片付け。
その後、風呂を沸かす。


祭理にとって、一日の中で最もドキドキする時間がやってきた。
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