山寺兄弟の深すぎる愛
そして風龍が風呂から出てくる。
「出たぞー」

リビングに戻ってきて、キッチンに向かいミネラルウォーターの入ったペットボトル片手に祭理の隣に座る。
「じゃあ、僕入ってこよっと!」

虎空が出ていくと、風龍も同じように祭理を横から抱き締めた。
「はぁー、やっと邪魔者がいなくなった!」

やっぱり祭理は、ただ抱きすくめられている。

「祭理、ありがとな!ミサンガ」
「うん」

「祭理と同じくらい、大切にする!」
「うん」

「祭理…祭理…スゲー好き…////」
「うん…」


風呂の時間は、風龍と虎空にとって唯一祭理と二人っきりになれる絶好の機会。
なので、ここぞとばかりに祭理を独り占めするように愛でるのだ。

そしてさすが双子だけあって、することがとても似ている。


(この後“キスしていい?”って言われるのかな?)

なんとなく構える、祭理。
風龍が腕を緩め、祭理の頬を包み込んだ。

「……/////」
「祭理」

「は、はい!」
「フフ…お前…ほんと、可愛いのな!」

「え?」
風龍の顔が近づき、頬にチュッ!とリップ音をさせてキスされた。

まさか、こんな不意にされるなんて思わない祭理。
思わず固まる。
そしてみるみる顔が赤くなっていく。

「ヤバ…/////可愛すぎなんだが!/////
もっとさせろよ━━━━━━」
「や…/////
フウちゃ…だめ…//////」

反対の頬にもキスをした風龍。
風龍も止まらなくなり、何度も頬や額に啄むキスを繰り返した。

「お願…フウちゃ…やめ……」
「ダメ…止まんねぇ…!!」

キスをしながら、ソファに押し倒された祭理。
「ちょっ…フウちゃん!!?/////」

「なぁ、祭理」
祭理を組み敷き、ジッと見つめる。

「な、何?」

「祭理の“初めて”俺にちょうだい?」

「え?」

「初彼も、ファーストキスも、初体験も…全部……」
祭理の額に額をくっつけ囁く。

「そ、それは……」

「………」

「……/////」

「………って、無理だよな。ごめん!変なこと言って」
そして祭理を起こした。

「………ふ、フウちゃん…」

「そんな、怯えた顔すんなって!」
「う、うん」

「祭理。
祭理からキスしてよ?」
「へ!?」

「頼むよぉー!
ほんとは口にしたいのを我慢してやってんだから!」

(クウちゃんにもしたしな……)

祭理は、ゆっくり風龍の頬に顔を近づける。

風龍も同じように、祭理が頬にキスする瞬間カシャッと写真を撮ったのだった。
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