山寺兄弟の深すぎる愛
美容師がパタパタと、祭理の方に向かい話しかける。
すると、祭理がバッと風龍と虎空の方を向いた。

二人が小さく手を振る。
ふわりと笑って、小走りで駆け寄ってきた。

二人は、祭理の容姿に思わず見惚れていた。

ロングだった髪の毛が、バッサリショートにカットされていて、真っ黒だった髪色もベージュ系のカラーに染められていた。

たった今、祭理への狂愛を認識したところなのに、更に心が奪われていく。

「フウちゃん、クウちゃん!
お待たせ!
ど、どうかな?/////」

「「………好き…/////」」

褒めたい言葉はたくさんある。
しかし可愛すぎて、好きすぎて……もう、言葉が出ない。

「あ、ありがとう/////」

「早く行こうぜ」
「ね?帰ろ?」

こんな可愛い祭理を、誰の目にも触れさせたくない。
二人は、祭理の手を掴み引っ張った。


少し強引に、引っ張っていく風龍と虎空。
握った手の強さに、祭理は顔をしかめる。
「あの!フウちゃん!クウちゃん!」

「「何!?」」

「あ…いや…あの……」
キッと睨まれ、思わず恐縮する。

「あ…ご、ごめん!祭理!」
「ごめんね!えーと…怒ってないからね!」

「う、うん…
あの…手、痛い…」
少し遠慮がちに答え、見上げる祭理。

「わりぃ!!」
「つい、力入ってた!ごめんね!」
慌てて繋ぎ直し、優しく握った。

「う、ううん。
あと、行きたいところがあるの。
欲しいものがあって。
それでね、二人にお願いがあるの」

「「お願い?」」

そして祭理は、あるものを購入する。

「ピアッサー?」
「祭理、ピアスの穴開けたいの?」

「うん。欲しいピアスがあって……
てゆうか、もう買っちゃったんだけど……」

「cmakoの?」

「うん。
動物モチーフのピアスがあって、その中に龍と虎があったの!
それ見た瞬間“欲しい”って思って!」
そう言って、スマホ画面を見せる。

可愛らしい龍と虎のチャームがついたピアスが映っていた。

「へぇー!」
「可愛いね!」

「うん!
これ、イヤリングかと思ってすぐに買ったんだけど……」

「届いたら、ピアスだったってこと?」

「うん…(笑)
龍と虎は、フウちゃんとクウちゃんだから。
どうしても、つけたくて……!」

「僕達のために、開けようとしてくれてるの?」

「うん。まぁ…
でも、自分で開けるなんて怖くて……
だから、開けてくれない?」
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