山寺兄弟の深すぎる愛
マンションに帰り、ソファに並んで座っている三人。

「よし!この辺だな」
「だね!」
風龍と虎空が、祭理の耳たぶに印をつける。
祭理も鏡で見ながら、頷いた。

「じゃあ、左からな!」
風龍がピアッサーを持ち、祭理の耳たぶに当てる。

「あ!ちょっと待って!!」
祭理は、深呼吸しながら震える身体を静めようとする。

「大丈夫か?祭理」
「祭理、今日はやめとく?」

「ううん!この勢いでしないと、ずっと出来ないだろうし」

「…………じゃあ、祭理。
僕と手、繋ご?」
「うん」

虎空と手を繋ぐ。
「僕と話しよ?
僕の方を意識して?
その間に、フウに開けてもらお?
大丈夫、すぐ終わるよ!」

ギュッと握りしめ、虎空を見る。
「あ、さっき、男の美容師と何話してたの?」

「え?あ…あの美容師さんの彼女さんが私達と同じ大学みたいで、私達三人のこと有名ですよって言われたの」
「へぇー」

「大学四年生みたい。
でね!結婚するんだって!」
フフ…と笑う、祭理。

虎空は微笑み返しながら、風龍に視線で合図した。

パチン!と音がして、祭理の左耳たぶにピアスがついた。
「よし!綺麗についた!」
「え?」

「ほら!」
風龍が、鏡を見せる。

「ほ、ほんとだ……!
フウちゃん、ありがとう!」

「次は、右耳ね!」
「じゃあ、俺と手を繋ぐぞ!」
「うん…」

「今度は、俺を意識して?
うーん…
あ!GW!
どっか行こうぜ!
何処行きたい?」

「うーん…そうだなぁ。
温泉とか?」

「温泉かぁー、良いな!
でもなぁー」
「ん?」

「祭理と一緒に入れねぇしなー(笑)」
「へ!?//////」

「フフ…俺は、祭理と一緒にいたいし!」
「も、もう…!(笑)」
照れたように笑う、祭理。

そして、パチンと音がして右耳もピアスがついた。


「━━━━フウちゃん、クウちゃん。
ほんと、ありがとう!」
「ん」
「良かったね!」

「これで馴染んだら、cmakoさんのピアスつけられる!」

微笑み礼を言う祭理に、風龍と虎空も微笑む。
そして、少し真剣な表情で祭理を見た。

「今度は、俺達から」
「伝えたいことがあるんだ」

「え?う、うん」


「「祭理、今月末このマンションを引っ越すから!」」
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