山寺兄弟の深すぎる愛
「………」
突然の二人の言葉に、固まる祭理。

「今度は2LDKだから、悪いが個人の部屋はない」
「でも、クローゼットは三つあるからね!」

「今月末に石狩達が全部してくれっから、俺達は身一つで新しいマンションに行くぞ」

「………」

「祭理?聞いてる?」

「………」

「祭理ー?」

「あ、う、うん…
で、でも、ほんと突然だね……」

「ごめんな」
「ごめんね」

謝ってはいるが、二人の瞳には“絶対的な圧”があった。

異論ないよな?
祭理は、黙ってついてこい。

祭理は正直、二人のこの目は嫌いだ。

もちろん居候の身の祭理に、反論なんてない。
でも、二人はいつも勝手に決めてしまう。
そして、反論は許さない。

こんなことに関しては、二人はいつも事後報告だ。


あっという間に月末になり、石狩達父親の部下に荷造りをされ、新しいマンションに連れていかれた。
マンションについてからも、同じく石狩達が荷解きをする。

それを横目で見ながら、風龍と虎空に部屋の説明をされた。

「━━━━━ここが、便所!」
「で、こっちがお風呂ね!」

「この部屋は今んとこ空き部屋だ。
このクローゼットを祭理が使え。
着替えたりする時は、この部屋使えよ!」

「うん、わかった!」

「で、ここが………」

「「寝室!」」

「わぁー、広い部屋…
2LDKって聞いてたから、もう少し狭いの想像してた。
リビングもだけど、広いね!
━━━━━ん?大きなベッドだね。これ、誰のベッド?
後の二人は、何処に寝るの?」

「「このベッドで、三人並んで寝るの」」

「へぇー!
━━━━━━………
え!!!?」

固まり、みるみる顔が赤くなっていく祭理。
そして祭理は、その瞬間わかったような気がした。

なぜ、風龍と虎空が突然“引っ越し”なんて言い出したのか。
これが、一番の理由か………と。

(あぁ…やっぱり……“頬っぺたのキス”受け入れるんじゃなかった………)

祭理は今、心底後悔していた。


「━━━━━だ、ダメだよ!/////」

「は?」
「どうして?」

「わ、私、寝相悪いし」

「うん。俺達のこと蹴っても殴っても、祭理ならいいよ!」
「問題ないよ!」

「ほ、ほら!イビキとか!!」

「うん」
「問題ない」

「歯軋り!」

「いいよ!」
「うん、何があっても可愛い!」

「私、口開けて寝るらしいし……
昔、お母さんに言われた!」

「「可愛いー!」」

「………」

二人の感覚は、どうなっているのだろう。

あぁ…神様、これから私はどうなってしまうのでしょうか?
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