山寺兄弟の深すぎる愛
龍or虎or◯
「「祭理!!!
早くこっち!!」」

あぁ…機嫌が悪い━━━━━━


あれから━━━━━清輔に会ってから、機嫌を損なってしまった風龍と虎空。
機嫌が悪い中、なんとか買い物を済ませマンションに帰ってきた。

帰って早々、ソファに座り祭理を呼ぶ二人。

「で、でも…お買い物したやつ、冷蔵庫に入れたりしないだよ?」
怯えながら言うと、風龍がソファから立ち上がり、ドンドンと足音をさせてキッチンに来た。

乱暴に、冷蔵庫に詰めた風龍。
祭理の手を掴み、引っ張った。

虎空の隣に座らせ、風龍も祭理の隣に座る。

そして二人同時に祭理に抱きついた。

「く、苦し……」

「祭理、何処にも行くなよ…」
「僕の傍にいて……」

抱き締める力強さとは正反対の、切なく苦しい声色。

「うん、大丈夫だよ。
何処にも行かない。傍にいるよ」

祭理が言い聞かせるように言うと、そこで二人はゆっくり腕を緩めた。


それからDVDの映画を見て過ごし、今は夕食を作っている三人。

テキパキと調理する二人に、祭理は追いつかない。

「あ、あの!」

「ん?」
「何?」

「後は私がするから、二人はソファに座ってて?」

「は?なんで?」
「一緒に作ろ?」

「だ、だって…
これ、一緒にってゆうか…ほとんどフウちゃんと、クウちゃんが作ってるし」

「そうか?」
「祭理も、作ってくれてるでしょ?」

「それに、今日は私の当番だし」

「何でも、一緒にしようぜ!」
「ね?当番なんて関係ないよ!」


そして、夕食がローテーブルに並ぶ。
(うー、何この…見映えの違い……)

今日は、春野菜の和風パスタと豆腐のサラダ、玉子スープだ。
ちなみにパスタとスープは風龍と虎空が作り、サラダは祭理が作った。

パスタとスープは、色とりどりで見映えもとても綺麗だ。
対するサラダは、白と緑だけ!という感じだ。

豆腐とレタスときゅうりだけ。
(あ!トマト入れれば、少しはマシかも?)

祭理はパタパタとキッチンに戻り、トマトを冷蔵庫から出した。

「ん?祭理、どうした?」
「トマト?
あ、トマトのマリネでも作る?」

「へ?」

「だったら、モッツァレラか…あ、クリームチーズあるよな?」
「うん、買ったはずだよ」

「あとは…バジルと…」
「アボカドも入れると美味しいよね!」

「え?え?」

豆腐サラダに突っ込もうかと思っていた祭理。
しかし、二人はあっという間にお洒落に仕上げてしまった。

今更“豆腐サラダに突っ込もうとしてた”とは、言えなくなってしまった祭理だった。
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