山寺兄弟の深すぎる愛
「………ん。フウが入れたにしては、美味しい!
ありがとう、祭理!」
一口飲んだ虎空が言って、祭理にマグカップを返す。

「うん」
祭理が頷いて、再び口をつける。
すると………

「ちょっと待った!
祭理、俺もちょうだい!」

「え?フウちゃんは、あるでしょ?」

「もう飲んだ」

「え?そうなの?
じゃあ、どうぞ?」
風龍に渡す。

「ちょっ…フウ!
それ、祭理のために入れたココアでしょ?
フウが飲むのおかしくない?」

「いいんだよ!一口だけ!」
そして祭理が口をつけた場所に口をつけ、一口飲んだのだった。


それから、揃ってリビングに行く三人。
まだ時間は早いが、祭理が起きると言ったため風龍と虎空も一緒に向かった。

基本的に、風龍と虎空は祭理から離れない。
何処に行くにも、ついていく。

風龍と虎空にとって祭理は“世界の中心で、命そのもの。尚且つ、愛してやまない大切な女性”だから。

一度二人は、祭理に想いを告白している。

高校三年生の冬のことだ━━━━━━



祭理は高校三年生になってすぐ、両親を事故で亡くした。
身寄りもない祭理。

風龍と虎空にも、幼い頃から母親がいない。
父親に育てられた二人。
父親は風龍と虎空を寵愛していて、二人の言うことは“何でも”聞く。

それもあり祭理は、ある意味娘のように世話になっているのだ。

二人の意向で、高校三年生の時からこのマンションに三人で暮らしている。

幼馴染みの三人。

風龍と虎空が祭理を女として意識するのも当然のように、いつも三人一緒にいた。

一緒に暮らし始めてからは急速的に、祭理への慕情は加速していった。


そして高校を卒業する一ヶ月前。

二人は同時に、祭理に想いを告白した。

『祭理、俺達』
『祭理のことが、好きなんだ!』

『嬉しい!
私も、大好きだよ!』

『そうじゃなくて!』
『一人の女性として、好きってことだよ!』

『え?』

『俺達は、祭理を自分だけのモンにしたいってこと!』
『キスしたり、それ以上のことをしたいんだ!』

『『そうゆうことが出来る関係になりたい!』』

『フウちゃん、クウちゃん…』

『祭理』
『僕か、フウ』

『『どっちか、選んで?』』
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