山寺兄弟の深すぎる愛
そして━━━寝室に移動する。

「………」

ベッドの両端に横になった風龍と虎空が、同時に祭理に向かって両手を広げた。

「「おいで?祭理」」

「……/////」

「ほら、祭理!」
「早く!」

祭理は恥ずかしくて、突っ立ったまま動けずにいた。

「「祭理!」」

「あ、う、うん…/////」

「あと、5秒」

「え?え?」

「5秒で来ないと、キスすんぞ!」

「えー」

「そうだね!
口唇にしちゃうよ?」

「「5、4、3、2…」」

「わ、わかった!寝ます!!」
意を決して、二人の間に横になった。

「……/////」

「フフ…可愛いなぁ、祭理」
肘枕で祭理を見下ろす、風龍。

「顔も真っ赤!可愛い~」
虎空も祭理の方を向いて、頬を突っつき微笑んでいる。

「……/////」
(む、無理!!)
祭理は、布団をかぶった。

「祭理ー、隠れんなよ!」
「祭理ー?」

二人に布団を剥ぎ取られた。

「恥ずかしい…/////」

「「可愛い~」」

「で、でもこれ…狭くない?」

「そりゃ、キングに大人三人だからな」

「私はいいけど、特に二人は狭いでしょ?
身体、大きいし。
お、落ちないかな?」

「うん。
だから、抱き締めさせてね?」
「そうそう!もうちょい、くっつかねぇと!」

そう言って、風龍と虎空が横から包み込むように抱き締めてきた。

「む、無理ぃ…/////
これじゃ、寝れないよ…」

「でも、ベッド一つしかねぇし!」
「大丈夫だよ!抱き締めるだけで、何もしないから!」

「……/////
もう一つ大きなベッドにすれば良かったんじゃない?
というより、せめてシングルベッドを並べるとか」

「あー、そうだなー」
「気づかなかったー」

「………」
(ぼ、棒読みだし……)

(つか“あえて”キングにしたんだし!)
(それ以上大きくしたら、祭理とくっつけないじゃん!)

((あーあ…こいつ(風龍/虎空)さえいなければ、祭理と抱き合って寝れるのに……))

「とりあえず、二人とも腕離して?
このままじゃ…ほんと恥ずかしくて、緊張して寝れない……」

「「………」」
「わかった」
「じゃあ、眠るまでね」

二人は、祭理から腕を抜く。

「おやすみなさい…!」
祭理がゆっくり目を瞑った。

風龍は肘枕、虎空はヘッドボードにもたれて祭理を見つめた。
「おやすみ、祭理」
「おやすみ」

でもどうしても触れたくて、風龍は祭理の腹辺りをトントンして、虎空は頭をゆっくり撫でた。

((可愛い…/////))

次第に、緊張で固まっていた祭理に力が抜けて……
スースーと、寝息が聞こえ始めた。

「…………寝たな」
「寝たね」

二人は同時に、祭理を包み込む。

そして安心したように、眠りについた。
< 30 / 45 >

この作品をシェア

pagetop