山寺兄弟の深すぎる愛
GW初日。

駅前に━━━━不機嫌で恐ろしい雰囲気を醸し出した風龍と虎空と、二人に挟まれ恐縮した祭理がいた。
「………」
「………」
「………」

「遅くね?」
「遅いね」

「帰ろうぜ」
「それいいね」

「え、ほ、ほら!車、渋滞してるのかもしれないよ?」

「つか、なんで俺達が待たねぇとならねぇの?」
「まぁ、そうだね。
清輔が待つべき…てゆうか、家まで迎えに来るべきだよ」

「あ…フウちゃん、クウちゃん。
怒らないで?」

「あ…祭理、ごめん!」
「ごめんね!違うんだ!祭理に怒ってるんじゃなくて!」

「せっかくだし、楽しも?」

「あぁ、そうだな」
「邪魔者はいるけど、祭理も一緒なわけだし」

そんな話をしていると、セダンとミニバンが向かってきた。
三人の前でゆっくり止まると、セダンの運転席から清輔が降りてきた。

「ごめーん!渋滞で、遅くなっちゃった。
………って、機嫌悪っ!!(笑)」
風龍と虎空の雰囲気に、苦笑いをする清輔。

「あ…清くん、おはよう!」
「おはよっ!祭理ちゃん!」
そんな雰囲気に気を遣い、祭理が少し明るく言う。
清輔が優しく微笑んだ。

「━━━━━清輔」
そこに、風龍の鋭い声が響いた。

「んぁ?」

「早く、開けてよ。
帰るよ?僕達」

「あーはいはい……
てか、自分で開けたら?」

「「はぁ!?」」

「はぁ…これだから、お坊ちゃんは……」

「あ?」
「なんか言った?」

「いえ!どうぞ?お坊ちゃん方!」

青田(あおた) 清輔は、風龍、虎空、祭理の中高の同級生。
そして≪チーム・青輔(あおすけ)≫の総長でもある。

そのためか、風龍と虎空に恐れることなく話せる唯一の男だ。

風龍が後部座席に乗り込み、虎空が祭理の腰を抱いて乗せる。
そして、虎空が乗り込んだ。

助手席には、同じく中高の同級生・里羅が乗っていた。

「祭理ー、お疲れ~」
「里羅ちゃん!」
振り返り微笑む里羅に、祭理も微笑み返す。

「髪、切ったんだ!可愛い!」
「ありがとう!」


そしてゆっくり走り出す。
「悪いけど、煙草吸わして!」
清輔が煙草を咥えながら、断りを入れる。

「は?祭理がいんだぞ?」
「やめなよ!」

「だって、運転に集中できねぇんだもーん!
少し、窓開けっから!」

「あ、だ、大丈夫だよ!」

「祭理、無理すんなよ」
「良いんだよ?気を遣わなくて」

「でも……」
(トラブルはやだし……)

「フウちゃんとクウちゃんもいいよ!私は大丈夫だから!」
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