山寺兄弟の深すぎる愛
祭理が微笑むと、風龍と虎空も吸い始めた。

二人同時に煙草を咥えて火をつけ、それぞれ窓を少しだけ開ける。
そして祭理にかからないように、外に煙を吐いた。

この一連の動作を、まるで鏡を見ているようにした風龍と虎空。

「……/////」
(やっぱ、カッコいいな…/////)

祭理は思わず見惚れていた。

「ん?どうした?」
「祭理?」

「あ…/////う、ううん…/////」

見惚れていたとは言えず、俯いた祭理。
気を紛らわせるため、スマホを取り出し“cmako”のSNSを見始めた。

「祭理、やめときな!
酔うよ?」
里羅が振り返り、心配そうに眉をひそめる。

「え?あ、大丈夫だよ!」

しかし………
「………」
(や、ヤバい…気持ち悪い……クラクラする…)

里羅の言う通り、車に酔ってしまう。
思わず、ギュッと目を瞑り天井を見上げた。

すると額と頬に、冷たい感触がする。
「え……」

「酔ったんだろ?」
「大丈夫?」
風龍と虎空の手が、優しく触れていた。

「ありがとう…気持ちい……」
祭理が微笑むと、風龍と虎空も優しく微笑んでいた。


BBQ会場に着き、車を降りた一行。
ミニバンからも、青輔のメンバーが降りてくる。

「「「久しぶりっす!!」」」
風龍と虎空、祭理に挨拶してくる。

「じゃあ…道具とかレンタルしてくっから」
清輔が、受付に向かう。

「あ、清くん!手伝━━━━━」
「「祭理はいいんだよ!!」」

清輔についていこうとする祭理を、引き留め両側から手を握る風龍と虎空。

「でも…」と窺うように見上げる祭理。

「「いいから!」」
風龍と虎空は、そのまま川沿いまで連れていく。
風龍が川に手を突っ込んだ。
「冷てぇけど、気持ちいー!」

「ん、ほんとだ!
祭理も、触ってみなよ!」
虎空も突っ込んで言った。
祭理は頷き、突っ込む。

「結構、気持ち良くね?」
「うん。だいぶ暖かくなったから、足つけても気持ちいいかも?」
「そうだね!」

そこに、清輔が「行くぞー」と声をかけてきた。
早速移動し、準備を始める。

「祭理ちゃんと里羅は、そこ座ってなよ!」

「ありがとー」
清輔に言われ、里羅が祭理を連れて川沿いに向かった。

風龍と虎空が不服そうに見ているのを尻目に、祭理は里羅に引っ張られるまま向かった。


「祭理、最近どう?」

里羅が、意味深に祭理を見ていった。
< 32 / 45 >

この作品をシェア

pagetop