山寺兄弟の深すぎる愛
「そっか!まぁ、わかりきってたけどー(笑)」

「私も、はっきりしないとって思ってる。
私がはっきりしないせいで、フウちゃんとクウちゃんを傷つけてるし。
でも、どうしても…決められなくて……
まさか、里羅ちゃんや清くんまで傷つけてたなんて………
本当に、ごめんなさい!!」

「だから、いいって!」
「俺も、わかってるから!」



「━━━━━━恋って、難しいね……」

その後、川に入ろうと言うことになり、川で水遊びをし始めた一行。

子どものようにはしゃぐ、風龍や虎空、清輔達男性。
祭理と里羅は、浅い所で足だけつけて岩に座っていた。

「んー?
…………そうね…!」
ポツリと言った祭理の言葉に、里羅が微笑んだ。

「傷つけたくないのに、傷つけちゃう…」

「まぁ、でも!
欲張り祭理!!(笑)」

「え?あ、そう…ね……(笑)」

「なーんてね!!
まぁ、あの二人も悪いけど!」

「え?」

「束縛!!
そんなことするから、祭理の世界が狭くなる。
だから余計に、二人以外に目を向けることも出来ない。
もし、祭理の世界がもう少し広がれば、祭理だって“誰が一番大切か”がわかるんじゃない?
それが龍かもしれないし、虎かも?
もしかしたら、他の人かもしれない」

「………うん。
山寺のおじさんに話して、二人から離れようとしたの。
二人を傷つけたくなくて。
それに、里羅ちゃんの言うように欲張りでしょ?
でも、二人が壊れそうで……
それも出来なくて……」

「そっか…
祭理も大変だね……なんか…」

「いいの。
私が傍にいることで、二人がおとなしくしてくれるなら……
…………じゃないと…」

「なんか…世界中を探し回って壊しそうよね(笑)龍と虎。
だって“異常”だし!二人の、祭理への愛情」

「やっぱ、そうだよね……」

「だって、執着と束縛凄いもん!
二人とも!」

そう言って、里羅が風龍と虎空を見る。
祭理も、つられるように見つめた。

少し深い所にいる、風龍達。
服は濡れていて、水しぶきに包まれていた。

その姿が、あまりにも綺麗で……


祭理自身も“二人の傍にいたい”と思っていた。
< 35 / 45 >

この作品をシェア

pagetop