山寺兄弟の深すぎる愛
涙のデート
季節な夏になり、ジメジメした6月。

祭理は突然、風龍と虎空の父親に呼ばれた。
父親に風龍、虎空、祭理の四人で食事をしようと誘われ、ドレスコードだからと、祭理はホテルの別室に連れていかれたのだ。

ドレスを選び、風龍と虎空の待つレストランに向かう前。
石狩に、父親のいる部屋に行くように言われた。

スイートルーム前。
石狩によってドアが開き、中に入る。

広い部屋の奥の窓際に、父親が立っていた。
窓の外を見ながら「そこ座りなさい」と言う。

「はい」

ソファに座ると、父親が振り返った。

「ごめんね、こんなやり方で連れてきて。
普通に話がしたいって言うと、龍と虎に邪魔されるからね」

「いえ、大丈夫です!」

「どう?
龍虎との生活は」

「楽しくさせてもらってます。
おじさんにも、お世話になってばかりで……」

「今日はね。
君に、伝えたいことがあって」

「はい」

「祭理ちゃんは“将来のこと”をどう考えてる?」

「え……
え、えーと…まだ…何も…」

「そうか。
……………」
父親が、石狩に合図をする。
石狩が煙草を渡した。

火をつけてもらい、天井に煙を吐く父親。

「………」
祭理は緊張しながら、父親を見ていた。

「単刀直入に言う」

「は、はい」

「大学卒業後、龍か虎の妻になってほしい」

「え?」

「そのために、龍か虎のどちらと結婚するか決めてくれ。
猶予は“半年”
今年の大晦日、ここで返事を聞かせてほしい」

「え、え?」

「もし、決められなかったら━━━━━」

「………」

「……………小敷(こしき)商事の息子と結婚してもらう」

「━━━━!!!!?」

「その場合は、龍と虎には僕が違う女性と見合いをさせる」



見据え、言ってくる父親。

祭理は完全に固まっていた。
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