山寺兄弟の深すぎる愛
『………』

『『……祭理?』』

『…………あの、私……』

『大丈夫だ』
『どっちを選んでも、恨みっこなし!』
『俺達は、祭理を責めたりしない!』

『そうじゃなくて!』

『『ん?』』

『選べない…よ…』

『祭理…』
『そう…だよね…』

『ごめんなさい!私は、二人が同じくらい大好き!
ワガママだけど……ずっと、三人でいたい…!』


そしてこの告白を期に、祭理はマンションを出ていこうとする。

『祭理!?』
『何してるの!?』

『私、二人の前から消えなきゃって思って……』

『はぁ!?』
『どうして!?』

『だって、二人を傷つけたくない!
どちらかを決められないのに、傍にいさせてもらうなんてできない!』

『行くな!!祭理』
『そうだよ!行かないでよ!!』

『『傍にいてよ……』』
風龍と虎空が、両側から祭理を抱き締める。
そして、すがるように呟いた。

もう、どちらかに決めろとは言わない。
その代わり、ずっと傍にいて放れないでほしい━━━━

風龍と虎空は、そう祭理と約束したのだ。

そして風龍と虎空は“抜け駆けはしない”と互いに約束をかわし、祭理は“二人のモノ”にすると誓ったのだ。



そして現在に至っている━━━━━━

「今日からは、ちゃんとするからね!
今日は……私が当番だね!」

三人は、食事を日替りで作っている。
掃除や買い物は三人で一緒に行い、洗濯は祭理がしている。
(下着を見られたくないから)
冷蔵庫に貼っている当番表を見ながら祭理が言った。

「無理すんなよ!」
「そうだよ!
今日までは、僕達がするから!」
「な?だから、ソファでゆっくりしとけよ!」

「え?でも…」

「「いいから!」」

「う、うん。ありがとう」
祭理が、ソファに座る。
することがなくて、スマホを取り操作し始める。

好きなハンドメイド作家(cmako)のSNSを見る。
祭理も、ハンドメイドが好きで不器用ながらアクセサリーを主に手作りしている。
風龍と虎空が左耳につけているピアスとアンクレットは、祭理の手作りだ。

お世辞にもカッコ良いと言えない龍と虎のピアスを、それぞれ二人は好んでずっとつけてくれている。

(やっぱレベル高いよな~cmakoさんは!)

「まーた、見てんの?cmako」
朝食のサラダをソファ前にあるローテーブルに置きながら、祭理の顔を覗き込んでくる風龍。

「うん/////」
イケメン風龍に顔を覗き込まれ、照れたように顔を赤くする。

「まぁ、cmakoくらいならいいが……
あんま俺以外見んなよ?」
風龍が更に、顔を近づけてきた。
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