山寺兄弟の深すぎる愛
「…………指輪…」

「「え!?」」
エレベーター内で、風龍と祭理にポツリと言った虎空。
頭をブルブルと横に振った。

帰り着き、虎空が祭理に先に風呂に入るように促す。

祭理が風呂に入り、風龍を見据えた。
「フウ」
「あ?」

「“怒らないから”
正直に聞かせて?」

「え?」

「“抜け駆け”したよね?絶対」

「………」

「僕、一人でずっと考えてた。
逆なら、どうかなって!
たぶん“抜け駆け”しちゃうんじゃないかって。
だから正直なとこ聞きたい!」

「━━━━したよ」
真っ直ぐな虎空に、風龍も真っ直ぐ答えた。

「何、した?」

「キスした、口唇に。
あと、この指輪もペアリングだ」
左手の薬指の指輪を見せた。

「そっか…
そうだよね……」
虎空は、納得したように頷いた。



━━━━━━━そして、次の日。

虎空とマンションを出る、祭理。
“虎”のピアスのみをして、指輪も外している。

「じゃあ、行ってくるね!」
「おぅ!
クウ、0時までに帰るの“だけは”守れよ?」

「うん、わかってる!
行こ?祭理」


指を絡めて手を繋ぎ、マンションを出た。
「クウちゃん」

「ん?」

「昨日はフウちゃんのことだけを考えてたんだけど、今日はクウちゃんのことだけ考えるつもりだから!
見て?
虎のピアスだけー!」

「フフ…うん!
ありがとう!」

「で、何処行くの?」

「祭理と一緒に、アクセサリー作りたいんだ!
だから、ハンドメイドのショップに行くよ!」

「え?も、もしかして………!!」

「取れたんだ!
cmakoの教室のチケット!」

「嘘…!!!?凄い!!
私、全然!!取れないのに!」

「まぁ、父さんの力を借りたんだけどね!(笑)」

「それでも、嬉しい!!ありがとう!」
cmakoは月に三・四回、ハンドメイドを教えている。
しかしとても人気で、なかなかチケットが取れないのだ。


cmakoの教室につき、受付をする。

「は、は、はは初めまして!//////」
憧れのcmakoを前に、ド緊張している祭理。

「初めまして!ようこそ!
今日は、彼氏さんと来てくれたんですね!
ありがとうございます!」

席に移動しcmakoの丁寧な指導の元、製作を始める。
「まずは、何を作るか決めてください!
シルバーアクセサリーでもいいですよ!」

「クウちゃん、何にする?」


「もちろん、指輪だよ!」
虎空は微笑み、祭理の左手の薬指に触れた。
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