山寺兄弟の深すぎる愛
そこにゴン!と、皿が風龍の頭に打ち付けられる。

「いってぇぇぇーーー!!!?」
「フウちゃん!!?
だ、大丈夫!!?
す、凄い音がしたよ……!?」

「近いよ、フウ」

「いてぇよ!!!」

「は?当たり前でしょ?
殺す気でやったもん」

「あ?」
スッと立ち上がり、虎空を睨み付ける。

「フウはさ。
近すぎなんだよ」
風龍に睨み付けられていても、いたって普通な虎空。
冷静に答える。

「は?そのくらいいいだろ!?」

「だって僕が止めなかったら、キスしてたよね?絶対」

「は?さすがにしねぇよ!!」

「は?もちろん“口に”なんて言わないよ?
頬っぺだよ。
口になんてしたら、本当に殺すから。
僕だってしたいのに、我慢してるんだから!!」

「━━━━━だったら、クウもすれば?」
「は?」

「頬っぺにキス」

「え……/////
……………祭理、いい?しても」

「へ!?」

「「頬っぺにキス」」
風龍と虎空が、物欲しそうに見下ろしている。

「………」
固まっている、祭理。

祭理は、かなりの怖がり。
そのため、風龍と虎空が喧嘩や言い合いを始めると、ただオロオロして収まるのをひたすら待つことしかできない。

今回もひたすら収まるのを待っていたら、突然自分に振られビックリしていた。

「え、えーと…ほ、頬っぺなら…/////」

「「マジで!!?(ほんと!!?)」」
風龍と虎空の目が、キラリと光り表情が華やぐ。

「う、うん…」
この時祭理は、この“頬へのキス”をそんなに深く考えてなかった。

しかし━━━━この“頬へのキス”が、風龍と虎空の狂愛を加速させることになる。


「ヤバい…興奮してきた!/////」
「嬉しいな!」

風龍と虎空は、祭理を挟むように両隣に座った。

「じゃあ、俺からな!」
チュッ!と風龍の口唇が、祭理の頬に触れ離れた。

「ヤバ…/////祭理の頬っぺ、柔らかっ!!」

「次、僕ね!」
同じように、チュッ!と祭理の頬に触れ離れた。

「ほんとだ!クセになりそう/////」

当の祭理は、顔や耳を真っ赤にして放心状態だ。
「……//////」

「祭理?」
「祭理ー?」

「固まってる(笑)」
「可愛い////」

「祭理は、ウブだもんなぁー(笑)」
「そうだね(笑)」

「彼氏もいたことねぇし」
「当たり前でしょ!
僕達が阻止してきたんだから」

「どっちが、祭理のファーストキスもらえっかな~?」

「僕だよ」

「は?」

「フウなんかにあげないよ?」

「そりゃ、こっちのセリフだ!!」

「何言ってるの?
フウみたいな乱暴者が、祭理の初めてもらえるって本気で思ってるの?
祭理の初めては“全部”僕がもらう!」

風龍を真っ直ぐ見て言いきる虎空。
そんな虎空に、風龍は“フッ…!!”と噴き出し笑った。
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