山寺兄弟の深すぎる愛
「クウ、触りすぎ。
それ以上触んな」

「………はぁ、わかったよ」

「よし、祭理行こうぜ!」
祭理に微笑み、頭に手を優しく置いて言った。


ゆっくり、駅まで歩く。
「あ、そうだ。
フウちゃん、クウちゃん」

「ん?」
「なぁに?」

「私のせいで、講義大変だよね…
ごめんね…」

「何言ってんの?」
「祭理は何も悪くないでしょ?」

「でも、私が体調崩したせいだし…」

「しゃーないだろ?」
「祭理は、身体がそんな強くないんだから」

「うん…ありがとう!」
微笑むと、風龍と虎空が両側から頭をポンポンと撫でた。


「…………はぁ…でも源馬(げんま)先生の講義、心配だな」

「そうか?」
「どうして?」

「だって、進むのが早くって…
毎回大変なの。
だから講義、一回受けないだけで余計にわからなくなる」

「でもあいつ。
二年ん時も、大したこと言ってなかったよな?」
「うん、そうだね。
だから大丈夫だよ、祭理」
「まぁ、わからねぇとこは、俺が教えてやる!」
「うん、ありがとう」

駅に着き、電車が来るのを待つ。
ホームで待っている、三人。

“cmako”のSNSを見ている祭理を、風龍と虎空が見つめる。
常に祭理を視界にいれておきたい二人にとって、ごく日常のことだ。

「なぁ、祭理ー」
「ん?」

「いつ作ってくれんの?」

「んん…何が?」
頬を軽くつまみながら言う風龍に、身を捩る祭理。

「あー、アクセサリー?
祭理、三人お揃いのアクセサリー作ってくれるって言ってくれてたでしょ?」
虎空が答え、反対の頬を突っつく。

「あ、うん。
実は……内緒で作ってる最中なの!
………って、今言っちゃったら内緒になんないけど……(笑)」

「マジか!!?」
「ほんと!?」

「うん。もうすぐ出来るから、待ってて!
たぶん、今日仕上げること出来そう……!」

「「わかった!!」」

「あ!でも、期待はしないで!
ほんと、不器用だから私……」

「フフ…楽しみ!」
「心配しなくていいのに…
ピアスとアンクレットも、スッゴク気にいってるんだよ?」

「二人とも、無理してつけなくていいんだよ?
ピアス、他にもカッコいいの持ってるでしょ?
まぁ、全くつけてくれないのは寂しいけど……」

「「これが、良いの!!」」

声を揃えて言う風龍と虎空に、祭理は困ったように笑った。
< 7 / 45 >

この作品をシェア

pagetop