利瀬くんの甘さに溺れたら
花梨の言う通りだ。
もし…もし仮に、利瀬くんのことを好きになってしまったら。
「…うん。ありがとう花梨。私、頑張ってみる」
その時は、利瀬くんに好きになってもらえるように頑張ろう。
どう頑張ればいいのか、まだ全然わからないけど…。
「応援してる」
こうやって話を聞いて、励ましてくれる親友がいるんだもん。
「えへへっ、うん!!」
だから絶対、傷ついても大丈夫って思えるんだ。
*
「「「じゃーんけーんぽんっ!」」」
チョキが六人、パーが二人。
そのパーを出したのが、私と利瀬くん。
「行ってらっしゃ〜い」
クラスメイトに見送られて、二人で教室をとぼとぼ歩く。
「えっと…どんまいだね、利瀬くん」
「…佐藤さんこそ」
衣装係の人たちでジャンケンをした結果、ジャン負けが買い出しに行くというルールの元私と利瀬くんが行くこととなってしまった。
私的には気になってる利瀬くんと二人で出かけられるわけだし、役得ではあるものの…。
「っていうか、何この量!?どう考えても二人で持てる量じゃなくない…!?」